TRUMPETER 1/35 スウェーデン Strv103B
スウェーデン軍はそれまでの主力戦車であるセンチュリオンを更新するために1950年代中頃に新型戦車の設計案を募集し、複数社から応募がありました。 しかし、いずれも軍の要求に対して過大で高価な設計でしたので、スウェーデンの軍備局から避弾面積を抑えるために非常に車高の低い設計案が提案されました。 この設計案に基づいた試作車両は1961年に完成し、Strv.103の名称が与えられました。 Strv:Stridsvagnはスウェーデン語で戦車を意味し、直訳すると103型戦車となりますが、通称として「Sタンク」が用いられています。
最初の量産型103Aは1967年より量産が開始され、1971年までに300両が生産されました。 続いて改良型のStrv.103B戦車が生産されましたが、これは103Aのエンジンを新型に換装し、フロート・スクリーンとドーザー・ブレイドを装着可能にしたもので、103Aにも同じ改良が施されました。
スウェーデンは軍事的には中立を旨としていることから戦車の運用は国内に限定され、森や湖の多い国土で荒れ地を侵攻してくる敵を迎撃する戦闘が想定されました。 このような待ち伏せ攻撃に特化した車輌とするために砲塔を廃止して車高をできるだけ低くしたことがSタンクの最も特徴的なところです。 Sタンク以前にもドイツ軍の突撃砲等、旋回砲塔を持たない車輌は有りましたが、これらの主砲は限定的に旋回可能であるのに対しSタンクでは主砲を車体に直接固定装備しています。 この構造では主砲の旋回・俯仰機構が不要で、自動装填装置の搭載が容易となり発射速度の向上と装填手の廃止が可能となり、車体を小型化することができました。 逆に照準を変えるためには車体を左右に旋回させること油気圧式サスペンションにより転輪アームを上下させ車体を前後に傾ける必要が有りました。 この油気圧姿勢制御によって主砲は−10〜+12度の範囲で俯仰させることができました。 Sタンクは1990年代末までに全車が退役しており、現在ではドイツから導入したレオパルト2戦車シリーズが主力装備になっています。
製作の記録です。車体の傾きを半固定できるように加工します。
まず、一番前と後の荷重輪のサスアームの付け根を左右で接続する軸を仕込みます。
この車体は底部が内側に凸になってますので、少し削って軸ができるだけ水平になるようにします。
押え板を固定するためにナットも仕込みました。
サスアームの軸にアームを固定できるように針金を仕込みました。勿論ここでは接着してません。
荷重輪はポリキャップで回転可能ですが、スプロケットは接着固定の設計ですので、
ポリキャップを仕込んで回転可能になるように加工します。左が加工前、右が加工後です。
スプロケットの軸は安定させるために左右を貫通させました。
サスアームの軸は押え板との間にゴムを挟んで摩擦係数を稼いでいます。
キットと同じトランペッター製の連結可動式履帯(02055)を使いました。
接続ピンは外側用と内側用の二種類が有りますので、区別するために内側に黒点を打ってます。
内部に仕込んだビスを締め直すことができるように車体上部は接着しません。
前方はそれなりに隙間なく乗りますが、後方は少し浮いてしまいますので、
車体上下に穴を開けて虫ピンで止めるようにしました。
この虫ピンの抜き差しができるように最後部の荷持箱?はヒンジに針金で軸を仕込んで可動にしました。
写真では穴位置が分かるようにピンが4本見えますが、勿論使うのは2本だけです。
光沢クリアをスプレーしてデカールを貼り、墨入して艶消しクリアをスプレーしたところです。
ここからは完成品です。
汚しを掛けて完成です。
履帯の内側と予備履帯にはサビを乗せました。
ドーザーブレード下げた状態です。これに合わせて車体は全体的に下げてます。
目一杯前傾させました。
逆に目一杯後傾させてます。
通常の状態に戻しました。
ホイップアンテナは0.55mmの針金で、根本にはスプリングを被せてます。
排気管には蛇腹のチューブを接続しています。